森と日本人の歴史
先人は知っていた。
森と暮らしの関係を。
日本人は昔から生活に木を利用してきました。
家や舟の材料に用いて、材料にならない木や枝は薪などに使い、けっして無駄にはしませんでした。
そして伐った後は必ずまた木を植え、育ててきました。意外かもしれませんが他の国では植林の歴史がほとんどありません。
植林は日本人が培った知恵でもあるのです。
日本という狭い国土では森を守らなければ洪水や渇水が発生し、米などの農作物が作れなくなります。
森は今でも「緑のムダ」と言われますが、昔の人は豊かな森には美しい水が蓄えられることを知っていたのでしょう。
実際に戦時中に日本の木は使い切られ、森がなくなり、はげ山と化したため、その後各地で洪水や土砂崩れなどの被害が続きました。
国も製作に乗り出して30〜40年で成長する杉やヒノキなどの植林を進め、近年になってようやく森が蘇りました。
しかし、その後手入れもされず、森は荒れたままになっているのが現状です。
森がない裸地(らち)には地面に雨が浸透せず、多くの水が川へ流出する。そのため大雨になると洪水になる可能性が高い。また、森の地表は落ち葉や草で覆われており、雨が降っても土が崩れにくい。さらに地下では木の根が土や岩を固く縛り付けているので森では土砂崩れが起きにくい。