アトピーの予防、改善は住まいから
アトピー性皮膚炎は本来乳幼児がかかる皮膚疾患で、成人する頃には殆ど治るとされてきました。しかし現代では症状が長期化し、成人してから発症するケースも珍しくはありません。
発症数も年々増加していて、現在20歳以下の10人に1人がアトピー性皮膚炎であると推測されています。
今やアトピーは現代社会を代表する疾患となっています。しかし、発症と思われる原因は非常に多く、人によって様々です。
このコラムではアトピーと「衣食住」の「住」を中心に、予防と改善をテーマにご紹介していきたいと思います。
まず、アトピーはアトピー素因という遺伝子を持った人に発症します。これだけを聞くと「自分は大丈夫かな?」と思ってしまいそうですが、皮膚以外に発症すると気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎、花粉症となります。
日本人の30%がアトピー素因を持っているそうです。いかにして発症を予防するか、発症してしまったらどう改善していくのかが重要になります。
アトピーは明治時代には無かったそうです。アトピーが発現し、近年急増していった原因のひとつに化学物質の使用が挙げられます。今回のテーマはその化学物質と住宅の関連性です。
皆さんは「シックハウス症候群」はご存知でしょうか? 板を強力な接着剤で貼り合わせた、集成材という材料で家屋や家具を造ったり、化学物質が含まれている塗料や防腐剤を使用する事によって体に悪影響を及ぼす病気です。
その代表格、ホルムアルデヒドが空気中に拡散すると目や喉の違和感から始まり、様々な症状が表れます。
アトピー性皮膚炎の方も大きな影響を受けます。家具売り場を通りがかっただけで顔が赤くなったり、モデルハウスを見学した際に子供さんが体を掻きむしったりと、体を休める場所である住宅がこれでは本末顛倒です。
現在アトピーでは無くとも、化学物質が多く含まれる住宅に住み続ければどうなるのかは、想像に難しくありません。何らかのアレルギー物質の蓄積が、アトピーを含むアレルギー疾患の元になっているのですから。
化学物質は多くの恩恵を人類にもたらした一方で有害性も指摘されています。物が溢れ、限りなく選択肢が増えた現代。私達は様々な事を学ぶ必要があるのではないでしょうか。